工務店の決算書閲覧のすすめ

工務店を検討している人は「この工務店潰れないか?」という点が気になってくると思います。


大手ハウスメーカーなら倒産の心配は少ないですし
倒産したとしても何かしら業界が動いてサポートしてくれそうな気もします。
工務店と比べると安心感が段違いです。


工務店は材料を一括して先に仕入れていたり
施主からの入金のタイミングが遅いなど
注文が殺到していても現金が無くなって倒産する可能性がある業種です。

そこで、県の建設指導課に行って工務店の決算書を見てみることにしました。

 

工務店のHPの会社概要などのページに「○○県知事認可 : ( X -99) 第 999999 号」の様な記載があるはずなので
それをメモって行きます。


決算書には、貸借対照表損益計算書の他、
役員の名前や従業員数も載っていました。

その年に受注した金額も顧客毎に載っていたので、
この工務店で建てるにはどれくらいの金額が必要なのか?もある程度把握できます。
やらしいところだと、役員報酬とかも書いてありました。

 

個人的には、複数の工務店の決算書を見比べるのが結構面白かったです。

「お、ここは宣伝費すごい使ってるなー」とか

「従業員数が倍近く違うのに、従業員賃金が同じぐらいなんだが…」とか

「こっちの工務店の材料費やっすー」とか

一つだけだと黒字なのか赤字なのか、倒産の危険は?としか見れなかったのですが

見比べることで経営方針の様な物が見えてくる気がしました。



メモが取れるので筆記用具を持って行くと良いと思います。

県の建設指導課にさえ行けば無料で誰でも閲覧可能です。

C値やUa値はどこまで必要か

C値

これはほぼ確定していて、理論上は1.0以下が必要とのこと。
理由は、1.0以下じゃないと24時間換気が計画通りできなくなるためです。

ショートサーキット

給気口から空気を吸って、排気口から空気を出したいのに
家の隙間が多いと、給気口から空気を吸わずに、隙間から吸ってしまうからです。
この現象をショートサーキットといいます。
もちろん隙間が都合よく吸気口の近くにあれば問題ないのかもしれませんが
そんな都合よくはいかないですよね。

24時間換気がうまくいかないと何が問題か

正直体感ではわからないと思いますが
集成材やクロス、合板などからシックハウス原因物質が揮発するので
それを除去できなくなるのと、
二酸化炭素濃度が上がってしまったりします。
そうなると、健康を害する可能性が高まります。

とある工務店で賃貸住まいから新築へ移り住んだ方の実測データを見せてもらったのですが
賃貸と新居では二酸化炭素濃度が全然違いました。
(でも体感ではわからないと思いますけどね(2回目))

実際は0.5以下が必要?

ちなみに理論上は1.0以下でうまく24時間換気ができることになっているのですが
何事も理論通りにいかないものなので、実際は0.5あると安心みたいです。

諸説あり?

そして0.5以下ともなると「0.1でも0.5でもそこまで違いはない!」
という工務店さんも居ましたし、「うちは0.1だ!」と誇る工務店さんも居ました。
ただ0.1を誇る工務店さんでも、気密が高すぎるとドアの開け閉めに苦労するなど
やりすぎるとデメリットが生じるとは言ってました。

C値(気密)は劣化するか?

これはデータが見つかりません。
素人考えですが、テープでぺたぺた貼って隙間を埋めるので、
剥がれたり地震で破れたりはありうるのでは?と思います。
サッシやドアは、パッキンで隙間が埋まってるだけの物もあるので
それもパッキンの劣化から逃れられないのでは?と思います。

我が家は0.5以下を目標

劣化まで考えると0.1とかの方がいいかな?とは思うのですが
うちとしては0.5以下であれば良いかなと思っています。

Ua

Ua値は難しいですが、
結論としては6地域なら0.4から0.46あたりがコスパが良いと思います。
順を追って説明していきます。

そもそも高いUa値を求める理由は?

冬暖かく夏涼しい家に住みたいからですよね。
でも、Ua値が低くても大容量のエアコンをガンガン回せば冬暖かく夏涼しい家になりますし、
Ua値が高くてもエアコンをつけないと冬暖かく夏涼しい家になりません。

Ua値とは魔法瓶

Ua値とは、魔法瓶のように温度をキープする能力です。
魔法瓶は熱いお湯や冷たい水を入れるとその温度をキープしてくれる。
Ua値は暖めた室温や涼しい室温をキープしてくれる。
というわけです。

あくまで「キープ」なので、常温の水を魔法瓶に入れても常温のままな様に
家も冷暖房したりしない限り快適な室温にはなりません。

家における熱いお湯とは?

家における熱いお湯とは、エアコン暖房であったり、日射取得です。
冷たい水は、エアコン冷房です。
そのため冬は日射取得が重要になり、
逆に夏は熱を入れたくないので日射遮蔽が重要になります。

うちはUa値低いけど冬暖かく夏涼しいぞ。という体験談

Ua値はあくまでキープ力の高さを示す値なので、
キープ力が低くても、失う熱よりも多くの熱を得られれば、
快適な室温を保てるわけです。
なので、こういった体験談やブログが嘘を言っているわけではありません。

ならばUa値を低く建てた方が建築費が安くなるのでお得なのでは?

Ua値が低くても快適な室温がキープできるなら、
Ua値を低く建てた方が建築費が安くなるのでお得なのか?と言われると
そこはそう簡単ではありません。

イニシャルコストとランニングコスト

建築費というイニシャルコストは安くとも、
電気代やエアコン購入費というランニングコストがかかるためです。

エアコンは高出力な機種になると1台あたりの金額が高くなりますし、
10〜15年毎に買い替えたりしないといけなくなります。

考えるべきは生涯コスト

自分が家に何年住むのか?を想定し
イニシャルコストとランニングコストのバランスが良いところを探る必要があります。
イニシャルコスト + (ランニングコスト × 住む年数) = 生涯コスト

コスパが良くなるUa値と住む年数の目安

今の建築費だと、
Ua値0.4くらいの家(イニシャルコスト高、ランニングコスト低)に30年住むのと
Ua値0.6くらいの家(イニシャルコスト低、ランニングコスト高)に30年住むのと
イニシャルコストとランニングコストがトントンになるぐらいみたいです。
つまり31年以上住む場合はランニングコストの差により、
Ua値0.4くらいの家の方がお得になってくるというわけです。
若くして建てる方は住む年数も増えるので、
Ua値0.3くらい行っても元が取れるかもしれません。

これはハウスメーカー毎に価格が違うと思うので、
担当者と相談しながらUa値がどこらへんになると一番安く済むか探る必要があります。

冷暖房費のシミュレーションは必須

こうしたイニシャルコストとランニングコストを考慮するためには、
「冬に室温を21度で過ごそうとした場合の暖房費」などのシミュレーションが必要になります。
Ua値やC値はあくまで性能の一部分を示す数値でしかなく
建物の形や日射取得、日射遮蔽などいろいろな影響があって
室温が決まってくるからです。

無暖房、無冷房で過ごした時の室温が計算で出せたら
室温を21度にキープするにはどれだけエネルギーが必要か?がわかり
必要なエネルギー量が分かれば電気代がわかる。という順番になります。

我が家はUa値0.46以下を目標

うちの地域では2社だけシミュレーションをしてくれるところを見つけました!
まだシミュレーションまで進んでいませんが、
多分0.4ぐらいがコスパ良くなるんじゃないかなと思っています。

物価上昇リスク、電気代上昇リスクも考慮するなら
0.3ぐらいがコスパ良くなる気もしますが
いくら生涯コストが安くなるといっても
出せるイニシャルコストには限界があるので(ぴえん)

長期優良住宅を取得した方がいいのか悪いのか

あまりネット上では検索に引っかからない内容をメモ代わりに書いておく。

各市町村でも補助金

地域型住宅グリーン化事業の補助金が有名ですが、
各市町村でも長期優良住宅にすると補助金がもらえる場合があるので
自分が建てる市町村で調べてみるのをオススメ。
うちの地域は30万円貰えるみたいでした。

資産価値

国土交通省が「戸建住宅価格査定マニュアル」というものを出しています。
基礎・躯体の減価方法として、
1(長期優良住宅相当) :100年
2(劣化対策等級3相当):75年
3(劣化対策等級2相当):50年
4(昭和60年以降に旧公庫融資を受けている):40年
5(上記以外):30年
と定めています。

今から建てるなら普通の家で40年で無価値に
大手などで立てれば劣化対策等級3は付いてくると思うので75年で無価値に
それが長期優良住宅なら100年になります。
たまに営業さんに「売るわけではなければいらないよ?」と言われたりするのは、
減価方法の違いからくる話なのかもしれません。

個人的な予想

脱炭素への世界的な流れからすると、エコハウスが税制などで優遇される時が来るんじゃないかと思っています。
その時、UA値やC値、BELSより長期優良住宅が判断基準になったりする可能性もあるのではないかと…

実際のところ長期優良住宅はそこまで高い基準ではないので
長期優良住宅より優れたエコハウスなんていくらでもあるわけですが、
そこは国がやることなので長期優良住宅っていう認定がものを言うパターンもありえそうだなーっと。。
(減価方法の査定がまんまそうですし)

基本的にまともな工務店や大手で建てると長期優良住宅を取得できる仕様で建つと思います。
あとは申請費用(15万〜20万くらい)を払って取得するか否かです。

申請費用は補助金や控除でペイできると思いますし、
自分達が死んだあと子供が家を売る際にも売却価格でペイできそうですし、
申請費用が絶対出せないというカツカツ状態じゃなければ取得しておくのがベターかなと思っています。
(でも結構カツカツになるのが家づくりの現実だったり…)

youtuber工務店

youtuberとして人気になっていた工務店の完成見学会に行ってきました。

外観はガルバ、
内装は漆喰や無垢材を使うなど豪華な仕様、
キッチンやトイレなどの設備は既製品の普及グレード、
という感じでした。
予算の使いどころがはっきりしています。

youtubeを見ていても、全てを合理的に判断し、見た 目には無頓着という感じでしたが
完成した家もそんな感じでした。

性能や構造に関しては完璧。
もう安心感がすごかったです。
何を質問しても、詳しく、合理的に説明してくださる。
「そんなに断熱いらないですよー」なんて曖昧な答えは返ってきません。
「断熱を○○まで上げると冷暖房費が何円違ってきてー…」と返ってきます。
100%良い家が建つのは間違いないでしょう。

しかし見た目の好みが…
話を聞いた感じだと施主の要望を結構そのまま取り入れるタイプの工務店らしく
統一感が無い内装でした。

インテリアコーディネーターはいるそうなのですが、
施主の意見にノーを言える権限や体制が無いのかもしれません。
満足した見た目にするには自分たちで頑張らないといけないかも…

そして、性能や構造がすごいだけにお値段も凄かった。
性能からすると妥当な金額なのかなーとは思いましたが
手が出るかでないかは別の話と言いますか…

さすが人気youtuberという感じでした。

実大実験vs耐震等級3

面白い動画が上がっていました。

www.youtube.com

実大実験を行っていると宣伝するハウスメーカーは多いです。
震度7で何回揺らしたとか。
はたしてそれは許容応力度計算した耐震等級3より強度が上なのか。
動画を見た感想を。

そもそも許容応力度計算の根拠は?

実大実験を何度も行って体系化した計算式が許容応力度計算だそうです。
まあそりゃそうか。机上の空論の計算式なわけないよね。

実大実験を行っているから施主の家も震度7で何回揺らされても大丈夫?

実大実験はモデルハウス。
自分が建てる家の強度が保証されているわけでは無い。

個人的信頼度

1度やっただけっぽい動画しか公開していないハウスメーカーは「ただの宣伝」臭がしますね。

例えば一条工務店は 何年も実大実験を行っている点、
全ての商品タイプで実験を実施している点、
さらに実験前後の気密測定も行っている点など
本気度が感じられます。

でも結局許容応力度計算が必要なのでは?

でも結局のところ、1軒1軒許容応力度計算しないと強度の保証はできないんじゃないかなと思いました。
家の形が変われば…
窓が1枚増えれば…
風呂の位置が変われば…
強度や偏心率が変わるので。

許容応力度計算をしないハウスメーカーで建てる場合は、
「実験棟と同じ性能を会社側が保証してくれるのか?」を確認する必要がありそうです。
そこで「ただの宣伝」のための実大実験なのか、性能保証のための実大実験なのかわかりそうです。

ハウスメーカー比較動画もありました

www.youtube.com

コメントも参考になりそうです

作用温度ってなんですか

作用温度とは

気温が同じ室内であっても、壁面温度と周囲気流の状態により体感温度は違うことを加味し、周囲壁面との放射熱伝達と周囲気流との対流熱伝達と同じ量の熱交換を行なう様な均一温度の閉鎖空間での仮想気温が作用温度である。人体の発熱は評価されないため、気流による冷却効果は評価できない。そのため、この指標は暖房時に用いられる。 wikipedia

温度計でわかる室温と、体感温度は別だってことらしいです。

局所不快

室温が同じでも、局所的に温度に差があると人は不快に感じるそうです。
床が冷たかったり窓際が寒かったりです。
まあ床は触れてるのでわかりますね^ ^
エアコンを利用する場合は気流も関係しますね。

(詳しくは「作用温度」や「ISO7730」で検索するといろいろ出てきます)

室温は同じでも快適さが違う家ができる?

室温が同じでも作用温度(体感温度)で違いが出ると言うことは
高気密高断熱の家でエアコンが弱運転で済む家と
中断熱の家でエアコン全開の家では
たとえ同じ室温に保てたとしても快適さが違う可能性が出てくるということです。

エアコンから出る温風の温度も違いが出ますし、風量も変わります。
窓の性能差や断熱材の差によって、床や壁や窓の表面温度にも違いが出るからです。

でも、どこまでやれば快適になるのか

高気密高断熱の家に住んだことがないので違いがわかんないですよね。
付加断熱までしてある家(6地域でUA値が0.3台)だとかなり快適さが違うという噂は聞きますが…

んー予算もあるし、どこまでやれば満足できるのか、悩ましいところです。

工務店選び その1(耐震等級3)

うちは希望条件的に大手より工務店向きそうなので、主に工務店の話です。

うちの希望条件

  • 許容応力度計算(構造計算)による耐震等級3
  • G2レベルの断熱性
  • C値0.5以下
  • 設計者と直接やりとりしたい
  • 設計者を選びたい
  • コスパ

熊本地震での被害

耐震等級3の建物は損傷をうけた家が出たものの、
全ての家がそのまま住める状態だったそうです。
地震で倒壊しないことはもちろんですが、住み続けられる家が欲しいです。
これを知ってからは耐震等級3が必須になりました。

熊本地震の調査結果
http://kumamoto-fukkou.or.jp/datafolda/data/kumamoto.pdf

耐震等級には2種類ある

同じ耐震等級3でも2種類あります。 品確法という簡易的な物と
ガッツリ計算する許容応力度計算による物です。

2種類あるので同じ耐震等級3でも強度に差があるってことです。
(制度がおかしいよね?)
許容応力度計算が強度的に最強です。

大手の場合は、型式認定という制度を利用しているのでよく分からないのですが
家ごとに許容応力度計算をしなくても一定のルールを守ればOKという制度なので
また別枠なのかもしれません。
(追記 住友林業は独自ソフトによる構造計算をしてくれるみたい)

太い柱使ってるから大丈夫?

そういう問題じゃないんですよね。
どこにどんな太さの柱が梁が必要なのか?どれぐらい壁が必要なのか?基礎の強度は?とかとか
計算して設計するのが許容応力度計算なので
許容応力度計算しているか、していないかでしかないんです。
むしろ必要なところに必要な強度を持たせるので
「うちは全部太い柱だぜ」という家よりコスパも良いんじゃないかな(多分)

wallstat

さらにwallstatというツールを使った時刻歴応答解析をやってくれるところも存在します。
今までの大地震をシミュレートして設計した家がどうなるかビジュアルで見れるツールなんです。
ここまでやってもらえるとかなり安心できそうです。

ここまで書いておいてなんですが、
wallstatの様子や耐震等級の話はこの動画を見るのが一番手っ取り早いです。

youtu.be

地震保険の割引

耐震等級3だと地震保険が半額になります。
むしろ家財保険だけで、地震保険は入らないという選択肢もあり?

断熱気密への影響

断熱材の種類によるとは思うのですが、柱と柱の間に埋めたり、吹き付けたりするので
震度3ぐらいでも壁の内部でズレたり落ちたり剥がれたりという影響が出るんじゃないの?という心配もあります。

気密に関しても防湿気密シートを貼ったり、気密テープを貼ったりするので
剥がれたり破れたりしないのか?と思います。

その点から見ても、多少の揺れでも家が歪まない「硬さ」は重要なのかなと思っています。
ここらへんは要確認ですね。

築30年ぐらいで地震にあって性能が落ちるならまだ諦めもつくかもですが
築5年ぐらいで地震にあってそれから何十年と性能が落ちた家に住むとなったら悲しみしかないので。

続く(かも)